なんとか機会を見つけて先輩の誤解を解かなくてはいけない。 俺は先輩に声をかけるきっかけを探していた。 そんな時、同僚のHが声をかけてきた。 『今日、飲みに行かないか?』 断る理由もなく、明日は休日という事もあって、俺はOKした。 結局、その日は先輩に声をかけることは出来ずに過ぎてしまった。 こんな事に気をもんでいる事が馬鹿らしくなったというのもある。 とにかく、少し日を置けば先輩の機嫌も直るだろし、同僚のHにもそれとなく伝えてもらおう。 仕事が終わり、俺達は一緒に会社を出た。 向かった先は、居酒屋チェーン店。 休日の前ということもあって込んでいるかと思ったが、それほどでもなかった。 時間が少し早かったというのもあるだろうか。 俺達は座敷に通され、とりあえず生を頼んだ。 生の前にとりあえずが付くようになった。 ジョッキが3杯目に入ったときに、女の子が一人やってきた。 Hの友人だそうだ。Hがさっき電話していたが、このことだったのだろうか。 一人交えて合計3人での飲み会が始まった。 しばらくして、Hが用事を思い出したとか言い出して、帰ってしまった。 べたべたな言い訳。気を使ってくれたのはわかるが、もう少しましな言い訳にして欲しかった。 しかし、もう大分飲んだという事で、俺達もすぐに解散という事になった。 彼女を駅まで送り届け、帰宅した時にはもうかなり遅い時間だった。 俺はそのままベッドへ倒れこむようにして眠りについた。 ふと目が覚めたときはまだ日は昇っていなかった。 少しふらつく頭をしゃっきりさせるため、コップ一杯の水を流し込む。 キーンと響く痛み。 それから、シャワーを浴びて、また少し眠った。 二度目の目覚めは、携帯電話の音によってだった。 『もしもし』 友人のSだった。 『もしもし。俺の妹にさ、お前のことを話したら、会いたいって言うんだけど、どう?』 俺の事を話した? どんな話をしたのだろうか。 しかしながら、断ると角が立つ。 『うん。いいよ。え? 今から?』 急な話だな。それに最近こういうの多いな。 続く |