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.2.


時間前に待ち合わせ場所に着いた俺は少しそわそわしていた。
彼女は時間に少し遅れてきた。
まず、遅れてきたことを詫びて、簡単な挨拶をする。
それがひどく事務的に感じた。
俺はそれで少し醒めてしまったが、まぁ いずれにせよ少し話しをしてからだ。
仕事の話という可能性もないわけではないのだから。

入ったお店は洒落たイタリアンの店。
値段はそこそこするが、高いわけではない。
俺は内心ほっと胸をなでおろした。

俺達は店の一番奥の席に座った。
少し暗めの照明で視界が狭くなったような気がした。
此処にくるまでの間、彼女に色々話しかけてみたが、どうもそっけない。
やはり仕事の話なのだろうか。
しかし、総務から来る仕事の話って何だ?
それとも別の話?
どのみち期待はしない方がよさそうだ。

俺はしばらく彼女の行動を観察していた。
おかしなところはない。
色々な話を振ってみたが、どの話にも食いつこうとはしないし、向こうから話を切り出してくるわけでもない。
そもそも話を切り出すタイミングをうかがっている様子はまったくなかった。

その日はただご飯を食べて終わった。
結局なんだったのか良くわからない。本当にただ一緒にご飯を食べただけ。
楽しい会話とかなく、いい感じの雰囲気とかなく。ただ仕事をこなすような感じで。
俺は釈然としないまま帰宅した。
まぁ いいかおいしかったし、結局割り勘だったし。

次の日。
いつものように出勤し、仕事に取り掛かる。
しばらくして、先輩に呼び止められた。
『昨日、Kさんとご飯食べたんだって?』
耳が早いな。というかどうやって知ったんだ?
誰かに見られた?
『ええ。まぁ 振られちゃいましたけど。ハハ』
無理やりに冗談に。しかし、あながち間違ってはいない。そもそも最初からそういうのではなかったのだから。
『そう』
先輩のいらえは短く、またそっけないものだった。
ひょっとして狙ってたのだろうか。
先輩が行ったあと、そこら辺にいた同僚を捕まえて聞いてみた。
どうやら俺の予想が当っていたらしい。
誤解を解けば、すぐに元通りになるだろう。

その時は、それほど深くは考えていなかった。
それ以上考えようがなかったから。

続く



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