結婚支援サイト
1.


いつか見た夢の話。
もちろん夢の話なのでフィクションです。
名前とかも全部うそです。


ネットサーフィンをしていて、何気なく開いたサイトに結婚支援サイトの広告が出ていた。
特に結婚願望が強いわけではないが、遊び半分で登録してみた。
それが事の始まりだった。

名前:柏木 勇
年齢:28
性別:男
職業:会社員
年収:400万〜500万

俺は、サイトのナビに逆らわずに様々な情報を入力していった。
結婚支援サイトに年齢や性別、名前などを入れるのは当たり前だと思ったし、年収を入力するのにもためらいはなかった。
いやらしい話だが、結婚を考える上で相手の年収というのは非常に大事なものだ。

必要事項を入力し、簡単なアンケートに答えていく。
相手に求める性格とか、住んでいるところとか。
そして、アンケートにも答え終わると『お疲れ様でした』の文字。
一息ついて、時計を見たら、もう深夜を回っていた。
明日は月曜。
もう寝よう。

朝。気だるい月曜の朝。
俺はトーストの簡単な朝食を済ませ、着替えて、外に飛び出す。
変わらない日常。いつも通りの行動。
その時の俺の頭には昨夜の結婚支援サイトの事なんか欠片もなかった。

会社について、仕事をこなす。
何事もなく午前が過ぎた。
このまま行けば、午後も何事もなく終わる予定だった。
14時過ぎくらいだったろうか、一通のEメールが届いた。
送り主は総務のK。
タイトルは『お疲れ様です』
確か、総務に美人で有名なKという女の子がいると聞いた事がある。
まさかと思いつつメールを開く。
『今晩一緒に食事でも行きませんか?』
という一文のみ。
ロマンもへったくれもないデートの誘い。
だが、俺は、少しドキドキして、間違いだろうと思いつつもどこか期待していた。
俺はそのメールに丁寧に返信した。タイピングも心なしかいつもより遅めだ。

『お疲れ様です。
先ほどいただいたメールですが、あて先をお間違いではないでしょうか?』

しばらくして、返ってきたメールには、間違いではないという事と、駅前に出来た新しいお店についてや、待ち合わせ時間や場所について書かれていた。
俺は速やかに返事をし、何度も待ち合わせ時間や場所を確認した。

こうなると時間が経つのが遅くなる。
俺は残業にならないように急いで仕事を片付け、定時と共に会社を飛び出した。

続く



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